咽頭結膜熱(プール熱)とは・・・【 小児科 】
- 2023年2月11日
- 小児科
咽頭結膜熱とは、発熱・咽頭炎(扁桃炎)・眼症状を主とする急性のウイルス感染症の総称で、アデノウイルスにより発症することが多い疾患です。咽頭結膜熱はアデノウイルス3型の感染による事が多いのですが、アデノウイルス2・4・7・11型の感染でも咽頭結膜熱となることがあります。
主に6~8月の夏季に流行しますが、通年性に発症し冬季に流行することもあります。以前は消毒が不十分なプールの水を介して結膜に感染し流行していたことがあり「プール熱」とも呼ばれています。
感染経路
飛沫感染の他、手指を介した接触性感染であり、結膜・上気道を介して感染します。
臨床症状
潜伏期間は5~7日間。発熱から発症することが多く、全身倦怠感・咽頭痛・結膜炎(結膜充血・羞明・流涙・眼脂)なども出現し3日~7日間程度持続します。あまり咳嗽を認めない事が特徴です。
頸部リンパ節(特に後頚部)の腫脹・圧痛を認めることも多いようです。
中耳炎・肺炎の合併の他、極まれに肝炎・抗サイトカイン血症・血小板減少などの合併症を引き起こすことがあります。
診断方法
抗原検査キットを用いて患者の咽頭拭い液で検査します。抗原検査キットは特異度は高いのですが、感度が低く偽陰性が多い検査です。(検査が陰性でもアデノウイルス感染症の否定はできません。)
治療方法
抗アデノウイルス薬といった特異的な治療方法は無いため、発熱や合併症などへの対処療法が中心となります。アルコール消毒では効果が弱いため、感染予防には流水による手洗いが有効です。
学校保健法における取り扱いについて
「主要症状が消退した後2日経過するまでは出席停止」と決められています。