厚着や化学繊維でおこる冬の皮膚疾患
- 2026年2月10日
- 皮ふ科
冬の寒さ対策として普及している防寒具の「吸湿発熱素材」や「厚着」は、便利な反面、汗や繊維(線維)負けなどの特有の皮膚疾患を招くことがあります。
1. 吸湿発熱素材による皮膚トラブル
吸湿発熱素材は、細かい繊維が肌から蒸発する水分(水蒸気)を吸収して熱に変える仕組みを利用しており、肌に負担をかける場合があります。
肌着や腹巻き、サポーターなどとして商品化されています。
・乾燥肌(冬季皮膚そう痒症、皮脂欠乏性湿疹)
原因:吸湿発熱素材が混用されたインナーなどによって、繊維が肌の水分を奪うことで皮膚バリア機能が低下し、かゆみや粉をふくような乾燥が生じます。
・接触皮膚炎(湿疹)
原因:多くの製品に使われる化学繊維が肌を刺激し、赤みや湿疹を引き起こします。
2. 厚着による皮膚トラブル
過剰な重ね着や、暖房の効いた室内での体温上昇、寒暖差が主な原因です。
・冬のあせも(汗疹)
原因:厚着で蒸れたり、室内外の温度差で汗をかいたりすることで汗管が詰まり、赤みやかゆみを伴う「あせも」ができます。
吸湿発熱素材でも水分が繊維に吸収され、汗で蒸れたり、擦れたりすることで湿疹を生じます。
ネックウォーマー、マフラー、サポーターなど、肌に密着する保温性の高いものも注意しましょう。
・皮脂欠乏性湿疹
原因:皮膚の油分が減った状態で衣類との摩擦が加わり、湿疹が悪化します。四肢、膝下や腰回りなどに多く見られます。
・蕁麻疹
原因:厚着による圧迫や、衣類を脱いだ際の急激な温度変化が刺激となり、かゆみを伴う膨らみ(蕁麻疹)が出ることがあります。
3. 予防と対策
肌トラブルを防ぐためには、衣類の選び方や着方が重要です。
・綿(コットン)インナーの着用
吸湿発熱インナーの代わりに、肌に優しい綿の肌着にすることで直接的な刺激と過度な乾燥を防げます。
・保湿ケアの徹底
入浴後など、肌が清潔なうちに保湿剤を塗り、バリア機能を補います。乾燥しやすい季節では、くり返し保湿することが大切です。
・こまめな着脱
外出時は上着を重ね、暖房の効いた室内ではすぐに脱げるようにするなど、汗をかきすぎない工夫をしましょう。
アトピー性皮膚炎の症状も悪化しやすい季節です。かゆみや湿疹がよくならない場合は、医療機関へ受診を検討しましょう。
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