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百日咳とは・・・【 小児科 】|きくな小児科皮ふ科内科クリニック|菊名駅の小児科・皮ふ科・内科

百日咳とは・・・【 小児科 】

百日咳(pertussis, whooping cough)とは、ワクチン未接種の乳幼児では特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作・レプリーゼ)を認めことを特徴とする細菌性の急性気道感染症です。乳児期早期から感染する事もあり、1歳以下(特に生後6か月以下)重症化しやすいため注意が必要です。ワクチンを接種している幼児期以降は軽症例がほとんどですが、喘息の既往がある症例では喘息の症状が悪化したり咳嗽が長引く可能性があります。

4種混合(3種混合を含む)ワクチンの接種により日本では感染が落ち着いていますが、ワクチン未接種者や海外からの感染持ち込みにより今後増加する可能性がある疾患です。

グラム陰性桿菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)の感染が原因となりますが、一部はパラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)も原因となります。

 

感染経路

感染経路は、鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染、および接触感染等があります。日本のワクチン接種率は95%以上であり流行する事は少ないです。ワクチンを接種していない集団や小学校以上の施設内で時に流行する事があります。

 

臨床症状

ワクチン未接種者・不適切接種者の場合

1:カタル期(約2週間持続)

通常7~10日間程度の潜伏期を経て、普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。

2:痙咳期(約2~3週間持続)

次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)とななります。{ワクチンを接種していない症例では、短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音(笛声:whoop)を認めます。この様な咳嗽発作がくり返すことをレプリーゼと呼ばれています。}咳込みが強く嘔吐を伴うことがありますが、発熱は認めません。

非発作時は無症状ですが、何らかの刺激が加わると急に発作が誘発されます。夜間に発作が多いのも特徴です。

乳児期早期(生後1か月)では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがあるため注意が必要です。アメリカの報告では致死率が全年齢児で0.2%、6カ月未満児で0.6%とされています。

3:回復期(2、3週~)

激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなりますが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出ます。全経過併せて約2~3カ月で回復します。

ワクチンを適切に接種している場合

幼児以上の症例での百日咳では咳が長期にわたって持続しますが、典型的な発作性の咳嗽を示すことは少なく、軽症で診断が見のがされていることも多いようです。菌の排出は認めるため、ワクチン未接種の新生児・乳児に対する感染源として注意が必要です。

 

治療

マクロライド系抗生剤(ジスロマック「アジスロマイシン」・クラリス「クラリスロマイシン」)を内服します。内服開始から5日経過後には感染のリスクが減少します。治療開始が遅くなった場合には症状が遷延化しやすくなりますので注意が必要です。

 

学校健康安全法による取り扱い

特有の咳嗽が消失するまで、またはマクロライド系抗生剤内服5日間が経過するまでは出席停止となっています。

 

最後に

小学生以上で発熱が無く咳嗽が長引く場合は喘息や百日咳を考慮する必要がありますので、早めにかかりつけの小児科を受診しましょう。